AIでVBAを書く時代──今まで手が届かなかった自動化に、手が届くようになった

「この作業、毎回面倒だな。」

仕事をしていると、そんな場面は意外と多いものです。Excelでデータを確認し、条件に応じて色を付け、必要なデータだけを別の場所へ転記する。決して難しい仕事ではありませんが、何度も繰り返すとなると時間がかかりますし、人間が行う以上、見落としや入力ミスも起こり得ます。

これまでも「VBAで自動化すればいい」という話はありました。しかし、私自身は積極的に活用していませんでした。

理由は単純です。

「コードを書く時間を考えたら、手作業で終わらせた方が早い。」

そう考えていたからです。

私はVBAにまったく触れたことがないわけではありません。多少勉強したことはあります。しかし、「Dimって何だったかな」と思い出す程度の知識しかなく、一からコードを書くには時間がかかります。

つまり、自動化するための準備に時間を使うくらいなら、その場で作業した方が効率的だと考えていました。

ところが、この考え方は生成AIによって大きく変わりました。

日本語で依頼するとコードができる

今回、自動化したかったのはExcelのデータ処理でした。ある値より大きい場合、小さい場合でセルの色を変え、その結果を別の場所へ転記するという内容です。

文章で説明すると簡単ですが、自分でVBAを書くとなると、それなりの知識が必要です。

そこで私はExcelのCopilotを使いました。

「○○以上なら赤色、○○未満なら青色にしてください。」

「色を付けたデータだけ別シートへ転記してください。」

このように、日本語でやりたいことを書くだけでVBAのコードを作成してくれます。以前なら、検索サイトで似たようなコードを探しても、それがそのまま自分のやりたい処理に使えるとは限らず、どこを自分の作業に合わせて変えればいいのか分からず、そこからさらに調べて……となると、コードを書くこと以上に「調べること」に時間がかかっていました。数十分、場合によっては数時間かかっていたであろう作業が、驚くほど短時間で形になりました。

もちろん、ここで終わりではありません。

私はそのまま使わない

AIが作ったコードを、そのままコピーして実行する人もいるかもしれません。しかし、私はそうしません。必ず次のようにお願いします。

「このコードを日本語で説明してください。」

すると、AIは一行一行、あるいは処理のまとまりごとに、「ここではセルを順番に確認しています」「条件を満たしたセルを赤くしています」「最後に別シートへコピーしています」というように説明してくれます。

この方法には二つのメリットがあります。

一つ目は、自分自身がコードを理解できることです。全部を覚える必要はありません。しかし、「何をしているコードなのか」を理解していれば安心して使えます。

二つ目は、AIの間違いに気付けることです。実際、一度AIが誤ったコードを書いたことがありました。コードだけ見ても私には気付けなかったかもしれません。しかし、日本語で説明を読んだとき、「この処理、自分がやりたいことと違う」と気付き、修正をお願いすることができました。

AIは非常に便利ですが、間違えることもあります。だからこそ、「コードを書かせる」だけではなく、「説明させる」という一手間が、AIを使ううえでの安全確認になっていると感じています。

人間がやるより正確だった

今回処理したデータは、およそ6×30程度の表でした。数字だけ見ると180個ほどなので、それほど多く感じないかもしれません。しかし、人間が一つ一つ確認しながら条件判定を行い、色を付け、さらに転記するとなると、想像以上に集中力を使います。途中で電話が鳴るかもしれませんし、別の仕事が入るかもしれません。疲れていれば見落とすこともあります。

私は作業前に、「これ、自分で確認するのは骨が折れるな」と思いました。

実際、自動化した結果は正確でした。もちろん最初のコード確認は必要ですが、一度正しく動くことを確認できれば、その後は同じ品質で何度でも処理できます。疲れや集中力に左右されないという点は、自動化の大きな強みだと改めて感じました。

今まで手が届かなかったところに、手が届くようになった

今回、一番印象的だったのは「VBAが書けたこと」ではありません。「自動化するかどうかの判断基準そのものが変わったこと」です。

以前は、「一回しかやらないなら手作業でいい」という考えでした。自動化には準備時間というコストがあり、そのコストに見合わない仕事は数多く存在していたからです。

しかしAIによって、その準備時間が大幅に短縮されました。すると、「また同じような作業をする可能性がある」「今後も似たデータを扱う」と思った瞬間、「最初に少し時間を使って自動化した方が、結果として全体の時間を節約できる」という判断になります。

これは、単にコードを書く時間が短縮されたという話ではありません。今まで「面倒だから」「時間がかかるから」と諦めていた自動化に、手が届くようになったということです。

AIは人間を不要にしたわけではありません。AIが作り、人間が理解し、判断する。この役割分担があるからこそ、今まで見送っていた自動化にも手を伸ばせるようになったのだと思います。

だからこそ、AIに任せきりにするのではなく、説明を読んで理解し、自分で確認する姿勢はこれからも大切にしたいと思います。

AIが変えたのは、コードを書く速さだけではありません。「これは自動化するほどでもない」と諦めていた仕事に、手が届くようになったこと──それが、私が今回最も強く感じたことでした。

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